2013年2月9日土曜日

Reggatta de Blanc / The Police


このアルバムをSynchronicityと共にポリスの傑作に挙げる人も多いのではないのでしょうか、1979年発表のポリス2ndアルバムです。タイトルは「Reggatta De Blanc」。白いレゲエ、つまり彼ら白人によるレゲエという意味。1stで被っていたパンクの皮を破り、3人の個性が絶妙なバランスで表れている傑作。後の作品と比べるとサマーズの空間系エフェクトを上手く用いたギターサウンドがかなりの重厚感を感じさせ、スチュワートのドラムテクが炸裂しているなど、演奏面に関してはこの2人のセンスが光ります。一方スティングは質の高い楽曲を提供しており、収録曲の中で特に人気が高いものは全てスティングの作品となっています。


「見つめていたい」までのポリスといえばこの曲!スティング作曲の1.Message in a Bottleで幕を開ける本作。この曲は世界的に大ヒットした曲ですが、歌詞は人々の心の中にある孤独を歌っています(邦題は「孤独のメッセージ」)。サマーズの独特なアルペジオや、要所での印象的なギターフレーズが特に目立ちますが、コープランドの真骨頂であるとも言える、素晴らしいハイハット捌きを存分に聞くことができ、ただのヒットソングに留まらない、The Policeというバンドの魅力を最大限引き出している曲だと言えるのではないでしょうか。この曲はメンバーも相当気に入っていたようで、サマーズはライブで演奏する際はいつも楽しかったと言っていますし、バンド解散後スティングの結婚式にて3人が集まった際にもこの曲を演奏したとか。

タイトル曲でもある2.Reggatta de Blancは疾走感溢れるインスト曲で、やはり冒頭のコープランドのドラムが一番の聞き所。ハイハットとクローズリムショットの流れるような連打には、ドラマーでなくとも痺れるものがあります。3.It's Alright for You、7.On Any Other Day、11.No Time This Timeのようなアップテンポのロック、4.Bring on the Night、8.The Bed's Too Big Without Youでのレゲエ的リズムや、コープランド作の10.Does Everyone Stareではジャズでも始まるのかというイントロなど、バラエティに富んだ楽曲が収録されているため、多少荒削りなところはあってもそれを感じさせないほどの充実感があります。


6.Walking on the Moonは、スティングが部屋を歩き回りながら作曲した曲で、「Walking round the room」というタイトルにしようと思ったがそれではつまらないので、もっとくだらないタイトルにした結果Walking on the Moonになったようです。かなりレゲエ色の濃い曲ですが、月面歩行という通り、独特の浮遊感溢れるサウンドとなっています。終盤のディレイをかけたハイハット音もかなり味わい深いです。

初めてThe Policeというバンドに触れるなら、彼らの魅力が十二分に発揮されているこのアルバムがオススメ。ポリスというバンドの中でも土台となっている作品だと思います。

2013年2月8日金曜日

Outlandos D'Amour / The Police


78年発表、The Policeの記念すべき1stアルバム。世のパンクブームに乗っかってデビューを図っただけあって、かなりエネルギッシュな演奏が目立ちます。その後のアルバムに見られるようなレゲエ風味のサウンドの印象は薄く、ポリスの他のアルバムに慣れてしまった人が初めてこのアルバムを聞くと少し面食らうかもしれません。

しかしそこはポリス、後に「俺達はヘタクソなパンクバンドのフリをしなけりゃいけなかった」と語るように、いかにパンクの仮面を被っていても実際は各メンバーの十分な演奏技術・音楽活動経験という裏付けがあり、ただただストレートな楽曲ばかりではありません。


彼らの2ndシングルである「Roxanne」を聞くと、シンプルながら印象的なギターのカッティングに合わせて、どこか儚げなメロディーが歌われており、ポリスがただのパンクバンドでは無いことを十分思い知らせてくれます。「Hole in My Life」はパンクとは程遠いゆったりした曲です。スティングはポリス結成前にジャズバンドのLast Exitで活動していましたが、やはりその影響もあるのでしょうか。

このアルバムには、歌詞が売春を連想させることから当時ラジオで放送禁止となった「Roxanne」以外にも質の高い曲が多く収録されています。「So Lonely」などのシングル曲だけでなく、「Truth Hits Everybody」や「Born in the 50’s」もポップで聴きやすい。耳馴染みの良い曲が多いので、他のアルバムがあまり好きじゃない人でもこの作品は気に入ってくれるのではないかと。


なお「So Lonely」のPVは日本で撮影されており、当時の街並みが見れて面白いです。このPVに限らないですが、スチュワートは後期以外のPVだとほとんどドラムじゃない物を叩いてますのでそれに注目して他のPVと比較してみるのも楽しいかも。

2013年2月6日水曜日

Zenyatta Mondatta / The Police


気がつけば2月になってました。1月はポリスばっかり聞いてましたが、まずは80年発表のこの作品から。「Zenyatta Mondatta」というタイトルについては、調べてみると日本語の「禅」からとったとか、他の言語で世界の頂点を意味する言葉から引用したなど、諸説あるようですがはっきりとはしていないみたいです。単純にゴロが良いからこんなタイトルにしてる気もしますが…

このアルバムは過密なスケジュールのツアーの合間を縫って制作されたものだそうで、当のメンバー達はそこまで納得のいく出来ではなかったらしく、特にスティングはアレンジ面での不満を強く口に出しています。ポリス解散後、一時的にメンバーが再集結した際の録音で、「Don't Stand So Close to Me」や「De Do Do Do, De Da Da Da」等このアルバムからの楽曲が残されていることや、Stingが自身のソロ活動でZenyatta Mondatta収録曲のアレンジ違いを演奏したことからも、作り手本人からすればかなり消化不良感の強い作品であったことが伺えます。

確かにインスト曲が2曲、ほとんどボーカルが裏方に徹している曲が2曲あり、かなり地味な印象は拭えないです。またそれらの曲が後半に集中しているため、尻すぼみな感じも受けました。実際、ポリスファンの中ではこのアルバムが一番微妙とする人も結構いるみたいです。


とは言え、前半の完成度の高さには正直驚きました。さすがにヒットしたシングル2曲の「Don't Stand So Close to Me」(邦題は「高校教師」、相変わらずお金をかけないPV)と「De Do Do Do, De Da Da Da」は当然なのですが、コーラスの効いたギターの和音が肝となっている「Driven to Tears」~「When the World is Running Down, You Make the Best of What's Still Around」や、陽気な曲調の「Canary in a Coalmine」、イントロのドラムが非常に冴えている「Bombs Away」などを聞くと、曲順がもうちょっとバランス良くなるとかなり評価が変わっていたのではないでしょうか。

サウンド面では、前二作と比較すると、ドラムの音色が若干打ち込みに近い音になっている感じがしました。また楽曲もギター・ベース・ドラムといったそれまでのシンプルな構成から、シンセを導入し始めたことにより、この作品以降の演奏技術を前面に押し出すというより、楽曲としてのグルーヴ感をそれまで以上に重視したアレンジに繋がっていきます。


ちなみに「De Do Do Do, De Da Da Da」は日本語詞バージョンが存在したり、他のアーティストにカバーされており、「よく知らないけどサビのメロディは聞いたことある気がする」という人もいるかもしれません。というか俺がそうでした。このPVを見ると、まだこの頃は仲良かったんだろうな…と思わずにはいられません。音楽グループが仲良し集団である必要性は無いのでしょうが、それでもファンとしては殺伐とした雰囲気よりも和やかな雰囲気でいて欲しいものでしょうからね。