2013年1月9日水曜日

Close to the Edge / Yes


英国のプログレッシブロックバンド、Yesが1972年に発表した、恐らく彼らのキャリアの中で最も脂がのり切っていた時期の一枚。邦題は「危機」と言います。このアルバムでのメンバーはJon Anderson(Vo)、Chris Squire(Ba)、Steve Howe(Gt)、Rick Wakeman(Key)、Bill Bruford(Dr)。
人によっては彼らをKing Crimson・Pink Floyd・Emerson,Lake&Palmer・Genesisと合わせて五大プログレッシブロックバンドと呼んだりもするそうです。

2011年に借りたんですけど多分2012年で一番聞いたアルバムですね。2012年を振り返る的な記事では触れませんでしたが。今回はこのアルバムについて色々。

まずプログレッシブ・ロックってなんぞやと言われると正直俺も良く分からないのですが、個人的なイメージでは割と変拍子が多くて複雑な曲構成になっている楽曲が多い印象があります。とは言え音楽のジャンルなんてそこまではっきり区別できる物では無いと思うのであまり意味のないイメージかも知れません。全てに当てはまる訳じゃないのですが、曲は長いわ曲調ころころ変わるわインストパート多い曲もあるわで初めてプログレなるものを聞く人は少々面食らうかもしれません。

そもそも自分がプログレ、というかプログレっぽい音楽に興味を持つようになったきっかけは高校時代、軽音部の友人に勧められて聞いたDream Theaterなんですね。彼らはジャンル的にはプログレッシブメタルと言われたりしてますが、相当テクニカルな演奏で、変拍子を多用し、かなり長尺の曲もやっているので、当時どストレートロックパンクポップ大好きマンだった俺は相当驚きましたね。頭の中が「????」という感じで。

それでも聞いていくうちに良さが分かるようになった、というか単純に慣れたんでしょうが、しばらくはDream Theaterばかり聞いてたわけです。ギター少年(当時)だったのも手伝って自分の弾けそうなフレーズをちょろ~っと弾いたりしてました。

そんな感じでメタル系とプログレッシブ系が大好きになったわけですが、大学入ってしばらくはこれも友人から勧められたProtest the Heroというカナダのメタル(メタルコア)バンドばかり聞いてたので、しばらくプログレッシブ系のアーティストからは遠ざかってました。というかまあそもそもDream Theaterをプログレッシブの範疇に含めるかどうかと言われるとまた微妙な話になっちゃうわけですが。

結局聞くCD無いからプログレのアルバム借りようと思ったプログレッシブロックの源流に興味を持ちだしたのが大体一年ちょっと前です。当然もうプログレっぽい曲調には慣れていたのでこのアルバムを初めて聞いて戸惑うようなことはありませんでしたが、完成度の高さに脱帽してしまいました。

このアルバム実は三曲しか入ってないんですが、どれも隙が無い。
表題曲の1.Close to the Edgeはいきなり18分超の組曲。開幕のインパクトもさることながら、そのテンションを維持したままフィナーレで最高潮に達するというある種のお約束に初っ端から触れさせられるわけです。
正直一曲目でも十分なんじゃないかと思っていたら、スティーブ・ハウの奏でる12弦ギターの響きとジョン・アンダーソンの声の良さが際立って非常に美しい2.And You And I。
正直これアルバムの締めにぴったりだよねとか思っていたらリック・ウェイクマンの幻想的なリフが特徴的な3.Siberian Khatruで幕を閉じます。
このアルバムの流れ自体が様式美を構築していると言っても過言ではないかもしれません。使い古されている表現ですが、どの曲が外れてもこのアルバムは成り立ちません。

また各メンバーの演奏はかなりハイレベルで、クリス・スクワイアはそこらのボーカルより上手いのではというコーラスをかましながら難しいベースラインをきっちり弾きこなしますし、複雑なリズムを正確に刻むビル・ブルフォードのドラミングには圧倒されます。テクニカルというわけではないのですが、個人的には3.Siberian Khatruラストのスティーブ・ハウの弾くフレーズで感動したことを覚えています。メンバー全員の長所が存分に発揮され結実している、とでも言うのでしょうか。特にハウの作曲能力の高さは目を見張るものがあると思います。最近話題になっているRoundaboutもハウの作曲らしいですよ。

しかし、完璧であることは同時に危うさも兼ね備えているのか、このアルバム発表後にドラムのビル・ブルフォードが脱退し、黄金期メンバーは終焉を迎えます。その後ドラムはアラン・ホワイトへ代わりますが、同時にブルフォードのイエス・サウンドに対する貢献度の高さもまた浮き彫りになるわけです。二人のプレイスタイルは全くといって良いほど似通っているものではありませんでしたから、当時は話題になったそうです。その後イエスはメンバーチェンジを繰り返しながら活動を続けていくうちにストレートなポップスで大ヒットを飛ばすなど、新たなスタイルを確立していきます。


というわけで興味があったら聞いてみてください。あとなんとなくですがメンバーの名前とかを英語で打つのめんどくさくなってきたんでカタカナ解禁します( ^ω^)

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